タカラジェンヌの芸名の由来を調べてみた

宝塚いろいろ
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宝塚の生徒の名前はすべて芸名です。本名をそのまま使えないので、みな頑張って考えてつけています。

毎年発行される生徒名鑑『宝塚おとめ』にはタカラジェンヌそれぞれの「芸名の由来」も書かれています。
「家族で考えました」が圧倒的に多いですが、中には「いろんな人のお知恵を借り自分で考えました」、「尊敬する方のお名前から一字いただきました」などもあります。

実際のところ、どのように芸名がつけられているのかご紹介します。

よくある芸名のつけ方

芸名をつけるときに代表的なのは、

  • 本名の下の名前をそのまま使用(「ひとみ」をそのまま使うなど)
  • 本名の漢字を1字用いる(「優子」の「優」の字を芸名に入れるなど)
  • 憧れのジェンヌさんの名前から一字もらう
  • 受験スクールの先生などお世話になった方から1字もらう
  • 「愛」「海」「遥」など自分の好きな漢字を組み合わせる
  • 赤ちゃんの名前辞典を見てピンときたものを

などです。

上記の要素を複数組み合わせたり、必ず使いたい字をベースにタカラジェンヌらしい響きの名前にしたりして芸名を決めます。

百人一首などの和歌から

宝塚歌劇団(当時は宝塚少女歌劇団)が始まって10年ほどは、なんと100%百人一首から採られていました。

最初は小林一三先生が命名していた

宝塚歌劇団ができたころは、百人一首などの和歌からつけられていました。
名付け親は小林一三先生と言われています。
小林一三先生は、宝塚少女歌劇団、今の宝塚歌劇団の創始者です。

宝塚歌劇の殿堂入りしているジェンヌさんのお名前を見ると、百人一首が由来とわかりやすいです。

もちろんそれぞれ、
高峰妙子さん(1期生)――「田子之浦に 打出て見れば 白の 富士の高嶺に 雪は降りつつ 」
雲井浪子さん(1期生)――「海の原 漕ぎ出でてみれば 久堅の 雲居に紛ふ 沖つ白波」
天津乙女さん(7期生)――「天つ風 雲の通ひ路 吹きとぢよ 乙女の姿 しばしとどめむ」
門田芦子さん(9期生)――「夕されば 門田の稻葉 音擦れて 蘆の丸屋に 龝風ぞ吹く」
神代錦さん(19期生)――「此のたびは 幣も取敢へず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに」
から採られています。

「白薔薇のプリンス」「永遠の二枚目」「宝塚の至宝」と呼ばれ、劇団名誉理事も務めて終生タカラジェンヌとして生きた春日野八千代さん(18期生)。
彼女の芸名は、琵琶歌の歌詞の一節と「君が代」から取り命名されています。

宝塚歌劇団(当時は宝塚少女歌劇団)が始まって10年ほどは、なんと100%百人一首から採られていた宝塚の芸名。
春日野八千代さんのころからは、徐々に百人一首由来の芸名は減っていきます。
百人一首のネタも尽きてきた……というところでしょうか。

和歌由来の芸名は減ったけれど

近年では和歌由来のタカラジェンヌの芸名も減りました。
しかし完全になくなったとは言えないでしょう。

春野寿美礼さん(77期生・元花組トップスター)は「春の野の すみれ摘みにと こしわれそ 野を懐かしみ 一夜寝にける」という万葉集の山部赤人の歌が元になっています。

また、大澄れいさん(92期生・元雪組男役)は「あさみどり澄みわたりたる大空の広きをおのが心ともがな」が由来です。

憧れのジェンヌから

タカラジェンヌのほとんどは元は宝塚ファン。
好きなジェンヌさんの舞台に涙したり、憧れのジェンヌさんにお手紙を書いたりした少女時代があります。
芸名をつけるとき、憧れのジェンヌさんから1字いただいて励みにしたい!と思うのも自然なことです。

元月組トップ娘役の愛希れいかさん(95期生)、現在の星組トップスターの礼真琴さん(95期生)は、「レジェンド」と呼ばれた元星組トップスターの柚希礼音さん(85期生)から1字もらったと言われています。

元花組男役の瀬戸かずやさん(90期生)、元宙組男役の春瀬央季さん(94期生)は、元月組トップスターの瀬奈じゅんさん(78期生)から「瀬」の字をもらいました。
春瀬さんにいたっては、サインの「瀬」の字も瀬奈さんのサインに似せるという本気ぶりです。

専科の悠真倫さん(81期生)、元宙組男役の美月悠さん(94期生)は、元専科で元雪組トップスターの轟悠さん(71期生)から「悠」の字をもらっています。
2人とも、轟さんのディナーショーに出たときは本当に嬉しそうでしたね。

花組男役の聖乃あすかさん(100期生)は元花組トップスターの真飛聖さん(81期生)から。

雪組娘役の野々花ひまりさん(99期生)は、元宙組トップ娘役の野々すみ花さん(91期生)からです。

雪組男役の壮海はるまさん(103期生)は、元雪組トップスターの壮一帆さん(82期生)から一文字もらいました。

元雪組男役の彩凪翔さん(92期生)は、本名も「あや」が入った名前ですが、憧れていた彩輝直さん(76期生・元月組トップスター)の「彩」の字を使ったようです。
現在の雪組トップスターの彩風咲奈さん(93期生)も彩輝直さんのファンで、「彩」の字を芸名に使っています。

ちょっと面白いのは花組男役の永久輝せあさん(97期生)です。
元月組トップスターの天海祐希さん(73期生)、元雪組トップスターの朝海ひかるさん(77期生)に憧れた永久輝さん。
2人の「海」の字を英語の「SEA」にして、ローマ字よみした「せあ」を芸名に使っています。

恩師の名前から文字をもらう

タカラジェンヌは、宝塚音楽学校に入学する前には受験スクールでレッスンを受けていた人がほとんどです。

元雪組トップスターの音月桂さん(84期生)、元月組組長の光月るうさん(88期生)、元月組男役の宇月颯さん(90期生)は全員「月」の字が使われていますよね。
みなさん、文月玲さん(67期生)のバレエスタジオの出身で、先生のお名前から「月」を引き継いだためです。

宝塚音楽学校での恩師のお名前をもらうジェンヌさんもいます。

現在花組トップ娘役の星風まどかさん(100期生)は、音楽学校時代にお世話になった南風まいさん(元星組トップ娘役・65期生)から「風」をもらったようです。

元星組男役の涼紫央さん(82期生)、専科男役の紫門ゆりやさん(91期生)。
2人は、宝塚音楽学校で講師をされている渡辺奈津子先生の宝塚現役時代の芸名・紫苑ゆう(元星組トップスター・64期生)から「紫」の字をもらい、使っています。

師弟関係にドキドキ♬

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