男役から娘役に転向すると出世する?2000年以降に入団し性転換したジェンヌ一覧

宝塚いろいろ
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男役として入団したジェンヌが途中で娘役(女役)になることを「転向する」「性転換する」と言います。

男役から娘役に転向したジェンヌさんとしては、近年では愛希れいかさんのようにトップ娘役になった例もあります。
2000年以降入団のうち、娘役に転向したジェンヌさんを調べてみました。

転向したジェンヌ一覧

2000年以降に宝塚歌劇団に入団したジェンヌさんのうち、男役から娘役に転向した人をまとめてみました。

芸名転向した学年その他
大湖せしる88期雪組研11退団済み
純矢ちとせ89期雪組⇒宙組研3退団済み
彩星りおん90期月組研5退団済み
舞花くるみ91期宙組研1退団済み
天咲千華92期宙組⇒花組研1退団済み
愛希れいか95期月組研3元月組トップ娘役
音咲いつき96期星組研8退団済み
水沙瑠流97期雪組研4退団済み
愛海ひかる100期宙組研7退団済み
天紫珠李101期月組研3現役生
蘭世惠翔102期月組研4退団済み

現在も宝塚歌劇団に在籍しているのは、月組娘役の天紫珠李さんだけです。

転向後すぐ大出世!トップ娘役になった愛希れいかさん

「娘役転向」といえばまず思い浮かぶのが、約6年にわたってトップ娘役を務めた愛希れいかさん。
元々愛らしい顔立ちで、ダイナミックなダンスの得意な娘役さんでした。

愛希さんは転向後すぐにヒロイン役に抜擢され、1年ほどでトップ娘役に就任。
その後も龍真咲さん(87期・元月組トップスター)と珠城りょうさん(94期・元月組トップスター)の相手役を務めました。

トップ娘役になった愛希さんが転向の大成功例となるのは言わずもがなでしょう。

愛希さんは男役としては小柄で悩んでいたところ、龍真咲さん(87期・元月組トップスター)に背中を押される形で娘役に転向したと語っています。

愛希さんは娘役転向前にも、芝居で龍真咲さんと組んで恋人役を演じたり、ショーで娘役を演じたりしていました。
そのため、愛希さんの娘役転向は劇団の意向に沿ったものだったのではないでしょうか。

下級生時代に転向しスターになった娘役

新公学年で娘役に転向し、その後トップ娘役にはならないまでも、ヒロインを演じたジェンヌさんとして純矢ちとせさん(89期)、彩星りおんさん(90期)、天咲千華さん(92期)がいます。

純矢ちとせさんの場合

純矢ちとせさんは雪組時代に転向しています。バウホール公演『やらずの雨』でヒロインを演じたあと宙組に組替え。

宙組でも『逆転裁判2』のヒロインや、大劇場公演での2番手格の娘役を務めるなど、重要なポジションにいました。歌も得意で大劇場公演でエトワールもしています。

歌・芝居を得意としているだけでなく、日本舞踊では師範の資格を持つ超実力派娘役でした。

彩星りおんさんの場合

彩星りおんさんは研5で転向後、『THE SCARLET PIMPERNEL』で新人公演のヒロインを演じています。
歌の得意な娘役でした。

下級生の愛希れいかさんがトップ娘役になる前、霧矢大夢さん(80期・元月組トップスター)たちと同時退団しています。

天咲千華さんの場合

天咲千華さんは男役として入団後すぐに娘役に転向しました。
宙組から花組に組替えしてすぐ、『外伝 ベルサイユのばら』と『虞美人』の新人公演のヒロインを演じました。
芝居が得意で、憎めない雰囲気の愛らしい娘役でした。

上級生で転向すると「女役」に

現在、入団して7年目(研7)までが新人公演を行う学年、つまり「新公学年」です。
将来トップ娘役になるためには、例外を除いて新人公演でヒロインを演じることになっています。
新公学年で娘役転向する場合はこの新公ヒロインの可能性があり、将来的にトップ娘役になる夢が見えるのです。

一方で、新公学年を終えてから娘役に性転換するタカラジェンヌもいます。
その場合は将来トップ娘役になることはまずあり得ません。

それでも、本人の希望や演じたい役柄のために娘役への転向をすることがあります。

大湖せしるさんは大人の女役に

男役として新公主演経験がある大湖せしるさんが研11で娘役転向したときはファンに衝撃が走りました。
大湖さんの男役としてはやや小柄で愛らしい容姿からは、男役トップとしての将来は難しいものでした。
それでも男役としてスター扱いを受けていたことに間違いはなかったので、それを捨てて転向すると思ったファンはあまり多くはなかったのではないでしょうか。

しかし、「女役」(←この表記は本人の希望によるものだそうです)としての転向は大成功。
小公演でのヒロインや、大劇場公演『ルパン三世』での峰不二子役など、多くの活躍を見せました。

元男役ならではの大胆さや、学年を重ねての色っぽさなどが女役として生きたのだと思います。

音咲いつきさんも歌唱力のある娘役に

音咲いつきさんは、小柄ながら低音の歌がよく響くかっこいい男役として下級生時代を過ごしていました。

音咲さんが娘役に転向したのは新人公演を卒業した研究科8年目のこと。
トップ娘役になる将来はありませんでしたが、元男役らしい迫力と強さのある女役として活躍しました。
娘役と男役では歌で求められる音域が違いますが、歌唱力の高さは娘役になっても評価されていました。

愛海ひかるさんの場合

愛海ひかるさんが転向したのは研究科7年目のとき。
それまでも新人公演や小公演で女役を演じたことがあり、娘役転向はあまり驚かれませんでした。
華やかさとグラマーさのある舞台姿で評判でした。

愛海さんは『NEW GENERATION Ⅳ』という若手路線男役が中心に掲載される本にも選ばれていました。
そのため、男役としても劇団の期待はあったと思われます。

『アナスタシア』が転向後、初の公演でしたが新型コロナウイルス禍で新人公演は行われず、「路線娘役」にはなりませんでした。

その後『プロミセス、プロミセス』を体調不良で休演し、大劇場公演で卒業しています。

あまり役に恵まれず……な人もいる

残念ながら、転向した人が全員活躍するわけではありません。
舞花くるみさん、水沙瑠流さんのように、役に恵まれないまま退団したジェンヌさんもいます。

転向しただけで良いポジションにつけるといったことはないようです。
それでも、男役・娘役の両方を演じられたのは得難い経験と言えるでしょう。

蘭世惠翔さんの場合

蘭世恵翔さんはコケティッシュな色気と可愛さで人気の娘役でした。
男役時代に『エリザベート』新人公演のマダム・ヴォルフが似合ったこともあり、宝塚ファンも娘役転向にはだいたい納得していたかと思います。

新人公演や小公演でも主要な役を演じていて期待も高かったのですが、残念ながら2023年に退団。
現在は本名で活動しています。

天紫珠李さんはトップ娘役になれるか

月組娘役のひとり・天紫珠李さんは、現在もスター格で活躍している現役生です。
娘役に転向したあと何度も新人公演やバウホールなどでヒロインを演じています。

天紫さんのヒロイン歴をご紹介します。

  • 『夢現無双』新人公演(初ヒロイン)
  • 『チェ・ゲバラ』(日本青年館・シアタードラマシティ)
  • 『赤と黒』(御園座/ダブルヒロインのうちの一人)
  • 『幽霊刑事』(バウホール)
  • 『ブエノスアイレスの風』(日本青年館・シアタードラマシティ)
  • 『月の燈影』(バウホール)

トップ娘役・愛希れいかさんが主演を務めたバウホール公演『愛聖女(サントダムール)-Sainte♡d’Amour-』。
この公演では、ヒロインとは呼べませんが主演以外の娘役としては最もヒロインに近い役どころを天紫さんが演じていました。

また、『万華鏡百景色』でトップ娘役の海乃美月さん(97期)が休演したときに、彩みちるさん(99期)とヒロインパートを分け合って舞台を務めました。
パレードの大階段もトップ娘役のポジションで降りてきていますよ。

それ以外にもショーでトップスターの相手役を務めたり、場面の芯になることも多い天紫さん。
舞台経験は充分で、将来トップ娘役になる可能性はあります。

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