宝塚ファンの間でよく使われる「ご贔屓」という言葉。
簡単にいえば「好きなジェンヌさん」のことです。
この「ご贔屓」という言葉には深い意味があり、また歌舞伎や相撲などの世界とは違った使い方がされています。
宝塚歌劇の「ご贔屓」
宝塚ファンが「ご贔屓」という場合、それは自分や相手の好きなタカラジェンヌ(役者)のことを言います。
「私のご贔屓が今度新人公演の主演をするの」
「あなたのご贔屓さんはどなた?」
「贔屓のお茶会にぜひ来てね」
などと使います。
「ご贔屓」はひとりだけ?
SNSのプロフィールで「ご贔屓さんは○○さんと××さん、△△さんです!」と書いてあることがありますよね。
ダメとは言い切れませんが、この書き方で「この人は宝塚には詳しくないのだなぁ」「気が多くてミーハーなのね」「チケット目当てかも?」と思われることがあります。
なぜかというと、「ご贔屓」とはタカラジェンヌの非公式ファンクラブに所属している人だけが呼べるという考え方があるからです。
タカラジェンヌのファンクラブは、原則として現役生は1人の会にしか所属できません。
掛け持ちNGで、掛け持ちがバレると退会させられることもあります。
たった1人の大好きなタカラジェンヌ=ご贔屓を応援すべし、という建前です。
もちろんタカラジェンヌのファンクラブは非公式なものですし、時代によって言葉の使い方は変わります。
だからたくさんのタカラジェンヌを「ご贔屓」と呼んでダメではありません。
しかし、「推し」「好きなジェンヌさん」くらいにしておいたほうがベターかも。
歌舞伎の「ご贔屓」
歌舞伎の世界で「ご贔屓」という言葉は、役者ではなくファンのことを指します。
「この暖簾はご贔屓衆からの贈り物」
「○○さんはご贔屓筋をとても大切にしてらっしゃって、ご挨拶を欠かさない」
「社長さんは歌舞伎役者の○○さんのご贔屓様で」
という使い方をします。
まとめ:宝塚と歌舞伎では「ご贔屓」の方向性は逆
宝塚では役者であるタカラジェンヌがご贔屓、歌舞伎ではファンのほうがご贔屓になります。
似た世界なのにまったく逆の方向性なのは面白いですね。
まぎらわしいですが間違えないようにしましょう。