宝塚のヒエラルキー~タカラジェンヌで一番偉いのはだれなのか?

宝塚いろいろ
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300人以上いるタカラジェンヌたち。
宝塚で一番偉いのはいったいだれなのか気になりますよね。

やっぱり男役のトップスター?
それとも組長さん?

花組の人は月組より偉いの?

それともみんな平等?

そんな疑問に答えます。

男役トップスターを頂点としたヒエラルキー

宝塚でエライ人と言われて真っ先に思い浮かぶもの。
それは大きな羽根を背負った華やかな男役トップではないでしょうか。

男役トップスターは組で一番目立つだけでなく、責任ある存在です。

駅などに掲示される公演ポスター、『歌劇』や『宝塚GRAPH』などの雑誌の表紙などは男役トップが中心になっています。
公演の案内CMも男役トップスターがメインです。
スポーツ紙やウェブメディアのインタビューなどもほとんどが男役トップスターが出ています。
公演の初日や千秋楽、貸切などでもトップスターが組を代表してあいさつします。

宝塚は男役トップを頂点としたヒエラルキーになっています。
男役トップスターの相手役であるトップ娘役と、男役トップを支える2番手男役がその次に続きます。

さらにその下に男役3番手・男役4番手……といった風に路線スターが並び、組長などの別格系上級生も連なります。

番手がつかない路線外の中堅や下級生たちは基本的には学年・成績順で、ヒエラルキーの下位にいると思えばいいでしょう。

男役と娘役ではどちらが偉いか――薔薇とカスミソウ

本来、男役と娘役でどちらが偉いということはありません。
それよりも学年順や成績順がものを言います。

ただし、娘役はより娘役らしく、男役を立てて……という考え方があります。
男性役を女性が演じる宝塚では、娘役はより女性らしさを見せる必要があります。男役をより男らしく見せるために、娘役は普通以上に可憐さを出すのです。

また、宝塚は男役の世界、娘役は男役を引き立てて華を添える存在、という見方もまだまだ強力です。

男役スターは赤い薔薇、娘役はどんな男役にも合うカスミソウのようであれという教えもあるようです。
この教えでは娘役は男役の引き立て役のような感じもしますね…。

トップ娘役が「お嫁さん」と呼ばれることがあるように、今でも娘役は女性らしく一歩引いて出しゃばらずに……というのを求めるファンも少なくありません。

そのためか、ファンの前では娘役はしおらしく、男役より控えめにしていることが多いようです。
宝塚スカイステージでの番組などで娘役があまり発言しないのは、学年的に若いためだけでなく、控えめにしていたほうがファンに好かれるという理由からではないでしょうか。

花月雪星宙の5組に序列はない

宝塚には花組・月組・雪組・星組・宙組の5つの組と専科があります。
しかし、5つの組の中でどの組が一番えらいということはありません。
花組から宙組までは組ができた順番で並んでいるだけです。
一番最初にできたのが花組と月組、その後雪組、そして星組ができて、一番最近できたのが宙組です。

全組が揃うときは、花組・月組・雪組・星組・宙組の順番で並ぶことが多いです。
ファンにもなじみがある順番なのでしっくりきますよね。
近年は行われていないタカラヅカスペシャルや10年に一度しかない宝塚大運動会のようなイベントのときは、この組順に並ぶのが通例です。

しかし組順ではなく、スターの学年順やトップ就任順に並ぶこともあります。

また、専科は「雲の上」の存在に近いです。5組から少し外れた特別枠です。
そのため、各組の公演に専科生が出るときは「○○さん」とさん付けして呼びます。
専科生は上級生なことが多いためでもあるでしょう。専科生は尊敬される立場です。

内部ではなんといっても上級生がエライ

かつては軍隊並みの厳しさで知られていた宝塚音楽学校。
1期違えば下士官と一兵卒の差、とも言われ、上級生がカラスが白いと言ったら白いと教えられていました。

劇団に入っても上下関係の厳しさは続きます。
基本的には上下関係は絶対で、下級生が口ごたえすることは許されませんでした。
この厳しさは最近の宙組関連のニュースでもよく知られたのではないでしょうか。
(ただし、事件をきっかけに改善傾向にあるようです)

宝塚では実年齢の差よりも、入団した年、経験の差が絶対です。
中卒の本科生と高卒の予科生では予科生のほうが2才年上になりますが、年下の本科生を先輩として敬うことが求められます。
伝統芸能の師弟関係のような感じですね。

ただし上級生の厳しさは、一方的に理不尽なことを強要しているのではなく、下級生を教え導く立場だからという理由があります。
大人数を統率し、立派に舞台を務めるためです。もちろん行き過ぎはよくありませんが…。

今は昔ほど厳しくはないようですが、それでも先輩への礼儀は忘れていないでしょう。

同期の中では成績順

同じ年に宝塚音楽学校に入り、同じ年に宝塚歌劇団に入団した同期生たち。
同期の中では成績順に並びます。
宝塚音楽学校時代から、研1、研3、研5の年にダンスや歌、芝居などの試験があり、成績として反映されます。

同期の中では成績が重視されます。
組の中で一番成績のよいジェンヌさんが、新人公演の最終学年であいさつをしたり、同期生の退団者にお花を渡す役目をしたりします。成績優秀者が組内での同期のまとめ役です。

生徒名鑑「宝塚おとめ」(タカラジェンヌの一覧のようなもの)や公演ポスターの名前の並びは成績順です。
必ずしもトップスター、娘役トップスターなどが最初になるわけではないのです。

例えば花組トップスターの柚香光さんと水美舞斗さんは95期生で、水美さんのほうが成績が上なのでポスターの名前や大劇場公演のときの壁上スチールは水美さんが先に出ていました。
また、花組トップ娘役の星風まどかさんと宝塚を卒業した音くり寿さんの場合は、音さんのほうが成績が上なので、宝塚おとめも音さんが先に載っていました。

宝塚の入団時以外は組を超えた全体成績は公にはなりませんが、イベントごとの並び順などでわかることもありますよ。

トップスターと組長ではどちらが偉いか

トップスターは組の顔。

組長は組のまとめ役。

ではトップスターと組長はどちらがえらいのでしょうか。

ほとんどの場合、組長はその組の最上級生です。
その場合トップスターは組長よりも下級生なので、上下関係と礼儀を重んじる宝塚では組長のほうがトップスターよりも偉いと言えます。

ただし、組の顔であるトップスターのことを下級生といっても組長がないがしろにできるわけがありません。
組をまとめるためにはトップスターのカリスマ性や求心力は大事です。
それに、営業面でも誰よりもチケットを売るトップスターをばかにすることはできませんよね。

上下関係を重視する宝塚内部のヒエラルキーでは組長のほうが「偉い」ですが、組長がトップスターをないがしろにすることはできません。

組長とトップスターは互いに尊敬しあいながら舞台を作り、協力して良い組と舞台を創っています。

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