宝塚の管理職「組長」「副組長」はどうやって決まる?責任重大な仕事内容とは

宝塚いろいろ
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宝塚には「花組」「月組」「雪組」「星組」「専科」の5つの組があり、それぞれの組を束ねるのが「組長」です。
「組長」の補佐をするのが「副組長」です。

宝塚を知らない人が聞くとびっくりする言葉の一つが「組長」ですが、「ヤ」のつく仕事とは無関係です。
花組、月組といった各組を束ねるポジションだから組長と呼ばれています。

とても重要な役割なのに案外知られていない組長の仕事内容や、組長はどのように選ばれているかをご紹介します。

組長の仕事①組のまとめ役

組長の仕事は一言でいえば各組のタカラジェンヌのまとめ役です。
組内の士気を高め、良い公演ができるように努めます。

間違ったことをしたタカラジェンヌをしっかり叱るのも組長の役目です。
ちょっとしたことが舞台での事故につながったり、舞台での調和を乱したりということになります。舞台での事故やミスがないように、日々目を光らせているのです。

相談や悩みに応じるのは大切な仕事

また、叱るだけでなくフォローも欠かせません。
宝塚は競争社会です。
芝居の配役やショーの出番などによって一喜一憂します。
稽古場で演出家たちに叱られることも多いです。
タカラジェンヌは宝塚音楽学校などで心身ともに鍛えられていますが、それでもメンタル的に大変なのも事実です。

常に目配り・気配りして悩みを聞くなどして下級生のフォローにあたっています。
ときに厳しくときに優しくジェンヌさんを導くのが組長です。
落ち込んでいる下級生に声掛けをしたり、ときには食事に誘ったりしてコミュニケーションをとっています。

またタカラジェンヌは身体を酷使しているから、怪我や病気などの体調のフォローも欠かせません。

組長と副組長を「管理職」と呼ぶこともあります。
副組長は組長の補佐をします。

各種手配・スケジューリングも管理職の仕事

管理職である組長・副組長は組全体の予定を管理し、稽古の日程をまとめるなど裏方の仕事も多いです。
組の長ですから、組子のスケジュールは完璧に把握しています。

また、稽古で外部の人が振付・演出などに入ることもありますが、その日程調整などにも関わるようです。

公演の前段階であるお稽古のスケジューリングや、専科さんへの連絡なども大切な仕事です。

全国ツアー中に急病人が出たときの病院の手配など、非常時の対応も行います。

組長の仕事②立ち合い

タカラジェンヌには公演や稽古以外にもいろんな仕事があります。
たとえばポスター撮影や「宝塚おとめ」の撮影などにも立ち会うのだとか。
そのときはもちろん、衣装やメイク、ポーズの相談にも乗ります。

自分が表に出るところでなくても、陰から支えているのですね。

組長の仕事③公演挨拶

組長は舞台初日や千秋楽などの舞台挨拶をします。

公演の舞台挨拶は、公演の「長」と主演男役がするのが習わしです。
大劇場公演なら組長とトップスターが行います。
観劇のお礼を述べたり、次回公演の案内をしたりします。
組替えなど人事異動がある生徒がいれば、その紹介も行います。

トップスターなどのサヨナラ公演のときは退団者の紹介や階段降りの司会をします。

これらの司会は組のまとめ役である組長がするのが習わし。
ただし組長が卒業するときは副組長が代行します。

ときには貸切公演の挨拶をすることもありますよ。

組長・副組長はどうやって決まるのか

重大な役目を背負う組長や副組長。
では、どのようにして組長ら管理職が決まるのでしょうか。

組長や副組長は劇団から任命されます。
劇団上層部から呼び出され、管理職への打診をされ、受けると管理職に就きます。
管理職はしたくないけれど劇団には残りたい……というのはかなり難しいようです。
このあたりは一般の会社などでも辞令を断るのが難しいのと一緒ですね。

基本的には組の序列のトップ2が組長と副組長になります。
『宝塚おとめ』の各組の最初のページに出ている2人です。
しかし、必ずしも序列順ではなく、組長や副組長という役目にふさわしい人が管理職に任命されているようです。

過去にテレビ番組で元雪組組長の飛鳥裕さんは「劇団から仰せつかります」と発言しました。
そのとき、組内に飛鳥さんより上級生がいたからでしょうね。
このような配慮ができることも、組をまとめる大切な資質です。

人格的に優れている人、優しく愛情深く、ときには組子に厳しく接することができる人が宝塚の管理職に選ばれると言われています。
裏方としての仕事も多いので、舞台でのパフォーマンスよりも、組子のために尽くせる人でないと務まらないでしょう。

管理職を受けたらすぐに退団するのは難しいから……と進退を悩む上級生もいるようです。
大切な役目と知っているからこそ、軽い気持ちで引き受けることはできないようです。

近く退団を控えているなどの理由で、管理職就任をジェンヌさんがお断りすることもあるようです。

また、上級生がトップや路線スターの場合は管理職にはなりません。
トップスターや路線スターは舞台での役目も大きく、管理職と兼任するのは大変なためでしょう。

「組長」の笑い話

昔、夜の町で男性に絡まれた宝塚の男役がいました。相手はタカラジェンヌが男性だと思って喧嘩を売ってきたようです。
危ない状況ですが、「うちの組長を呼ぶ」と言ったら相手が誤解して逃げて行ったのだとか。

背が高くてドスをきかせることもできる男役から「組長」という言葉を聞いたら、まさか宝塚のことなんて思いませんよね。
勝手に誤解してくれてよかった笑い話でした。

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