NHKの朝の連続テレビ小説『ブギウギ』。
今年、2023年10月からスタートしました。
主人公・スズ子が所属しているUSKこと「梅丸少女歌劇団」はOSK日本歌劇団(略してOSK)がモデルになっています。
宝塚歌劇団と似ていると言われるOSKですが、どのような劇団で、宝塚とはどのような違いがあるのでしょうか。
宝塚歌劇団とOSKの違い
宝塚とOSKは、
・元が少女歌劇であること
・大正時代から続いていること
・男役と娘役がいること
・出演者が女性のみであること
・男役トップスターを頂点としたスター制度があること
・レビュー、芝居を行う
など、多くの似た点があります。
では、宝塚歌劇団とOSK日本歌劇団の違いを見ていきましょう。
宝塚 | OSK | |
名称 | 宝塚歌劇団 | OSK日本歌劇団 |
設立 | 1914年 | 1922年 |
団花 | すみれ | 桜 |
人数 | 約350名 | 51名 |
組制度 | あり(5組+専科) | なし |
経営母体 | 阪急電鉄 | ネクストウェア |
育成制度 | 宝塚音楽学校 | OSK日本歌劇団研修所 |
受験年限 | 満15歳から満18歳まで 中3~高3の女子 | 満15歳以上23歳未満の独身女子 |
OSKの団員数と規模
なによりの大きな違いは規模です。
常に約350名を擁し、5組が常時大規模な公演を行う宝塚に対し、団員が51名のOSKは人数面では大きな違いがあります。
OSKでは、宝塚で1組分未満の団員が、小規模で公演を行っています。
多くて30名弱、少ないときは2人程度でステージを務めます。
しかし舞台はクオリティーが高いことで有名で、高度で洗練されたショーや芝居を作っています。
トップスター制度について
華やかな舞台の頂点に立つのは宝塚もOSKも男役トップスターです。
その隣には娘役トップスターがいるのは同じですが、少し事情が違うようです。
宝塚のトップコンビ制度
宝塚はトップコンビ制で、各組男役と娘役のトップスターがいるのが通例です。
大劇場公演では男役トップと娘役トップが主人公とヒロインになります。
ただし、トップ娘役がいない時期もありました。
OSKのトップコンビ制度
OSKは男役、娘役ともにトップスターはいますが、相手役が固定制ではありません。
作品によって主演と相手役が変わります。
宝塚の小公演をイメージするとわかりやすいですよ。
ただし、固定制ではないもののよく組む組み合わせもあります。
楊琳・舞美りら、桐生麻耶・城月れい、翼和希・千咲えみのような体格や雰囲気の合う2人は、主演コンビになるなど公演で組むことが多いです。
娘役から男役への転向
宝塚では、男役から娘役に変わることがよくあります。
現役スターでは月組の天紫珠李さんが研究科4年目で娘役に転向しました。
過去には、愛希れいかさんのようにトップ娘役に就任した人もいます。
しかし、宝塚歌劇団への入団後に娘役から男役に転向した人は近年ではいません。
OSKでは入団後に娘役から男役に転向することがあります。
碧輝来さんは2023年の「春のおどり」のあとに娘役から男役になりました。
過去には虹架路万さんが男役に転向しています。
OSKのほうが人事的には柔軟な運用をしているのかもしれませんね。
OSKと「ブギウギ」
NHK朝ドラ「ブギウギ」の舞台、梅丸少女歌劇団の男役トップスター・橘アオイさん。
橘さんを演じる翼和希さんのかっこよさにメロメロになった人も多いのでは?
実は翼さんは、現役のOSK日本歌劇団の男役スターなんです。
「ブギウギ」に出てくる梅丸少女歌劇団(略してUSK)は、OSK日本歌劇団(略してOSK)がモデルになっています。
また、梅丸歌劇団の団員達として多くのOSKの団員たちも出演しています。
10月13日に放送された回では、USK初の単独公演「四季の宴~めぐりめぐる~」が上演されました。
緑の衣装を着ているのは、夏の王子を演じる橘アオイ役の翼和希さんです。
濃い紅色の衣装を着た男役さん(秋)は華月奏さん、ピンクのドレス(春)で城月れいさんが登場しています。
バックの白い衣装の男女はもちろんOSKの現役劇団員です。
また、USKの舞台演出には、宝塚歌劇団出身でOSKでも何度か作品を創っている荻田浩一さんが携わっています。
素敵な歌詞も荻田浩一さんの手によるものです。
制作にもOSKが関わっているだけあり、華麗なレビューにも納得ですね。
OSK日本歌劇団について
OSKは宝塚歌劇団と似ているため間違われることもあります。
しかし、OSKも少女歌劇から出発した歴史ある歌劇団です。
1922年に「松竹楽劇部」として設立されたOSK日本歌劇団は長い間に経営母体が変わったり、存続の危機に陥ることもありました。
100年を超える歴史の中で名前も何度か変わっています。
しかし、今はOSK日本歌劇団として101年を迎えました。
OSKのスターたち
それでは、OSK日本歌劇団の新旧のスターをご紹介します。
現役のOSKスター
現在は男役トップスター1人に娘役トップスターが2人います。
元トップスターが現在は「特別専科」の位置にいます。
OSK日本歌劇団は、2023年10月14日現在、51名の団員がいます。
男役トップスター | 楊琳 |
娘役トップスター | 舞美りら、千咲えみ |
主な男役スター | 華月奏、翼和希、椿りょう |
主な娘役スター | 城月れい、実花もも、唯城ありす |
特別専科男役 | 桐生麻耶 |
特別専科娘役 | 朝香櫻子 |
OSK出身のスターたち
OSK日本歌劇団は、歌手など多くのスターを輩出しています。
戦後「ブギの女王」と呼ばれた笠置シヅ子(三笠静子、笠置シズ子)さんもOSK出身スターの1人です。
NHK朝ドラ『ブギウギ』のヒロインのモデルなのはご存じですよね。
同じくらい有名な女優の京マチ子さんもOSK出身です。
近年では女優・タレントの瀬戸カトリーヌさんもOSK出身です。
ただ、阪神・淡路大震災のために不運にして初舞台を踏むことなく退団しています。
ジャニーズ事務所名誉会長で「メリーさん」と呼ばれるメリー喜多川も実はOSKの前身である「大阪松竹少女歌劇団」にいたようです。
OSK日本歌劇団に入団するには~受験について
OSKに入団するには、まずOSK日本歌劇団研修所で2年間、歌やダンス、日舞などを勉強する必要があります。
研修所は、宝塚歌劇団に入るための宝塚音楽学校のようなものです。
OSKの研修所も毎年生徒を募集しています。
募集人数は約10名で、入学できるのは女子のみです。
受験資格は「2024年4月1日現在、満年齢が15歳以上23歳未満の方。(中学校卒業以上及び独身の方)」です。
大学を中途退学して入団したり、一度は社会人になってからOSKに入団した人もいます。
華やかな舞台に立つ夢をあきらめたくない方には嬉しいですよね。
そのため、OSKは同期内でも年齢差は宝塚以上に大きいです。
宝塚よりも受験資格が緩やかで、試験の時期も4回にわたって開催されます。
OSKの102期生の試験は下記のとおりで、どこか自分に都合のいいときに受験することが可能です。
年度が明けた4月にも試験があるので、宝塚音楽学校に不合格になった後に受験できます。
【OSK日本歌劇団 102期生の試験日程】
・第1回試験:2023年8月20日(日)
・第2回試験:2023年12月3日(日)
・第3回試験:2024年2月4日(日)
・第4回試験:2024年4月7日(日)
入学試験では、ダンス・動作、声楽、面接の試験が行われます。
実際、宝塚を受験し続けたけれど夢が叶わず、その後にOSKと出会って新たな夢に挑戦し、スターになった人もいます。
実際、現在トップスターの楊琳さんや、『ブギウギ』橘アオイ役の翼和希さんは、宝塚音楽学校に不合格になったあと、OSKに入所しています。
特別専科の桐生麻耶さんは、体育系の大学に進学後OSKに出会い、大学を中退してOSKに入りました。
一方で、子どものころからOSKが好きで、中学卒業後にOSKに入る人もいます。
娘役スターの白藤麗華さんや、2022年に退団した穂香めぐみさんは、中学卒業後すぐにOSKの世界に飛び込みました。
宝塚を目指したものの宝塚音楽学校に落ちたからOSKを舞台人としての進路に選ぶ人もいますが、OSKが最本命という人もいるのです。
宝塚やOSKの劇場事情
宝塚歌劇団とOSKでは観劇できる劇場の事情にも大きな違いがあります。
宝塚を見られる劇場
宝塚には常設の劇場として、
・宝塚大劇場
・東京宝塚劇場
・宝塚バウホール
があります。
そのほか、阪急電鉄関連で縁のある梅田芸術劇場メインホールやシアター・ドラマシティで定期的に公演しています。
関東では日本青年館ホール、東京建物 Brillia HALL、東急シアターオーブ、KAAT神奈川芸術劇場、東京国際フォーラムなどでよく上演しています。
また、名古屋の御園座、福岡の博多座でも公演することがありますし、全国ツアーで各地を回ることもあります。
OSKの劇場
しかし、現在のOSKには常設の劇場はありません。
大阪を中心に、中小の劇場やライブハウスを借りて公演をしています。
大阪が拠点のOSKは、ブルックリンパーラー大阪で定期的に公演しています。
今はブルックリンパーラーでの公演が最も多く、3名前後の少人数で1時間弱のショーが中心です。
松竹座や、大丸心斎橋劇場、近鉄アート館でも年に何度か公演があります。
京都南座で公演することもあります。
10月初めから11月初めにかけて福井県越前市の「たけふ菊人形」で約1か月「たけふレビュー」をするのも恒例になっていますよ。
値段の安さもあり、地元民だけでなく関西方面を中心としたファンも越前市に訪れます。
東京では、三越劇場、博品館劇場などで公演を行うこともあります。
回数は多くはありませんが、関東のファンにとっては貴重な機会です。
配信にも力を入れており、ZAIKOを使ったライブをほぼ毎公演配信しています。
(主にブルックリンパーラー公演)
7日間のアーカイブもあるので、時間の都合をつけやすくて何回も見られるのが嬉しいですね。